難解で様々な解釈ができるSF超大作「ブレードランナー2049」のエンディングについて紐解いて行こうと思います。ラストシーンでは一体何があったのか。登場人物のその後はどうなるのか。様々な角度から解説していきます。
1、ラストでKは死ぬ
ラストシーンではKが自分の命を犠牲にしてリック・デッカードを救出し、彼を娘のアナ・ステリーンに引き合わせようとします。
大雪の中、リック・デッカードが階段を上がっていく後姿を見て、Kは正しいことをやり遂げた満足感と自分はリック・デッカードの息子ではなかった、つまり人間ではなかった、という失望を抱えて倒れます。
直前にラブとの戦いで致命傷を負ったKは出血し続け、あのまま死んだと考えるのが自然でしょう。もしかしたら生きている可能性もゼロではありませんが、Kが死んだと考える有力が手がかりがあのシーンに隠されています。
それはKが倒れた後で流れるBGMです。そう、前作の「ブレードランナー」のラストで流れたギリシャのミュージシャン、ヴァンゲリスによるBGM「ティアーズ・イン・レイン」が流れるのです。
この音楽が流れたとき前作ではロイ・バッティが死を遂げました。そして本作でもレプリカントであるKの死を遂げるシーンに使われているのです。
あのシーンはロイ・バッティのラストシーンがモチーフになっているのは、ロイ・バッティがリック・デッカードの命を助けたのを思い出すと、ぴんと来るはずです。
それに対し本作ではKが自分の命と引き換えにリック・デッカードを助けることで物語は幕を閉じるのです。
2、ラストでKは人間性を手に入れた
レプリカントのネクサス9型は、ご主人様に完璧なまでに忠実であることが売りです。そんなレプリカントにとっては人間の感情は欠陥でしかなく、素直に命令に従う完璧なまでのロボットであることが求められます。
Kがロサンゼルス警察で毎回のように心理テストを受けさせられていたのは、人間の感情が介入していないかを計るためです。人間的な感情によって精神に影響が及ぶと、忠実に任務を遂行できなくなるからです。
最初の頃、Kは完璧に心理テストに合格していました。その頃のKはブレードランナーとして同じレプリカントのサッパー・モートンを処分するのにもほとんど感情を見せなかったほどです。
しかしながらKにも少しずつ変化が現れます。馬の玩具の記憶が頭から離れないことから、自分にはもしかして人間の血が入っているのではないという望みを持ち始めたのがきっかけです。
それからKはレプリカントでありながら、ホログラフのパートナーであるジョイに恋をし、同じレプリカントであるラブを殺し、片目のフレイザの助言を破り、リック・デッカードを消すのではなく、彼の命を助けることを選びました。
つまりKには人間としての感情がしっかり芽生えていたのです。最後の心理テストにKが不合格になったのもその兆しがあったからでしょう。
特に印象的だったのはラストでKが微笑むシーンです。リック・デッカードの安全を確保し、さあ娘に会いに行くんだとKが言ったときそれまでずっと無表情だったKが初めて微笑むのでした。
自己犠牲を払い、自分の命と引き換えに命令に従うのではなく、正しいことをやってのけたあの瞬間、Kは人間より人間らしくなったと言っても過言ではないでしょう。
3、ブレードランナー2049に続編はあるの?
最強の敵にして自分を神だと信じて止まないウォレス。リック・デッカードとレイチェルの間に生まれた地球上初のレプリカントの娘アナ・ステリーン、レプリカントの権利を勝ち取るために活動する地下組織のリーダー、フレイザ。
彼らのその後を考えると、ここでシリーズが終わるとは到底思えないです。もちろんまだ製作が発表されたわけではありませんが、興行成績や人気のほどを考えても、ブレードランナー2049には続編が作られると考えるのが自然でしょう。
本作の劇中でウォレスが宇宙の植民化について語っていたことから、続編の舞台は地球だけでなく、宇宙に広がる可能性が高いです。
これまでLA、サンディエゴ、ラスベガスといった一部の都市だけにフォーカスされていたブレードランナーがついに本格的な宇宙SFの物語に発展しそうな勢いですね。
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