マーベルコミックのミクロなヒーローといえば「アントマン」。これまでのヒーローといえば大きくて力持ちが当たり前だったのに対し、1,5cmのキャラクターを主人公にした意外性のあるストーリーが話題を呼んでいます。今回はそんな「アントマン」のトリビアに迫ってみたいと思います。
1、原作のアントマンは3人いる
アントマンの原案といえば、スタン・リー、ラリー・リーバー、ジャック・カービーが制作した漫画シリーズ 「Tales to Astonish」の登場人物で、生化学者のヘンリー・ピムがアントマンに変身する。
2人目のアントマンは、娘の命を救うためにピムのアントマンスーツを盗んでアントマンになったスコット・ラング。3人目のアントマンは、S.H.I.E.L.D.の下級エージェントで、私利私欲のためにアントマンスーツを盗んだものの改心するエリック・オグレディ。
ちなみに映画「アントマン」の主人公といえば天才システムエンジニアのスコット・ラング。つまり本作では2人目のアントマンが起用されています。というのも一代目のヘンリー・ピムは恋人のジャネットに暴力を振るなどの凶暴性も描かれていたのと、三代目のエリック・オグレディは私利私欲が強く、ファミリー向けの映画にはスコット・ラングが最適だったからです。
2、アントマンを演じたポール・ラッドの役作り
アントマン役に起用されたポール・ラッドはアリの生態を調べようと、巨大なアリの巣を購入して、日々家で観察したそうです。ちなみにあまりにも神秘的なアリに魅せられた彼は撮影が終了してからも、アリの巣を大事に保管しているそうです。
3、マイケル・ダグラスが出演した理由
ハンク・ピム役でマイケル・ダグラスがこの映画に出演したのは、自分の子供たちに自分がマーベル映画に出ているのを見てもらうためだったそうです。確かにマイケル・ダグラスといえばサスペンスや人間ドラマといった大人向けの映画ばかりに出演するイメージがありますが、本作でいい意味でのイメチェンが図れたかもしれません。
実はもともとハンク・ピム役には「ファーゴ」などの映画で知られる、スティーヴ・ブシェミが起用される予定だったそうです。しかしスケジュールが合わずに彼は断念。そこでこの役をゲットしたのがマイケル・ダグラスだったのです。
4、Pingo Doce(ピンゴ・ドーシ)のポスター
「インクレディブル・ハルク」でハルクことブルース・バナーが勤務していた、ブラジルの飲料メーカー「Pingo Doce」のポスターが劇中に登場します。Pingo Doce(ピンゴ・ドーシ)は今後もマーベル作品には度々登場することが予想されるトリビアの一つです。
5、原作のアントマンは大きくもなれる
映画ではアントマンは一瞬にして自分の体をアリのサイズにまで縮められることができますが、元の大きさに戻ることはできても、それ以上大きくなることはできません。しかし原作のアントマンは、アントマンにもジャイアント・マンにも両方なれます。映画ではスーツに仕込まれた赤い液体が粒子の距離を変化させ、体を小さくさせますが、原作ではこれに青い液体もあり、それが体を大きくさせます。
6、機関車トーマスが友情出演してる
アントマンとイエロージャケットの戦闘シーンで、玩具でお馴染みの機関車トーマスが登場します。機関車トーマスは走行中にイエロージャケットを轢いてしまい脱線するハプニングも。その後、ひょんなことから巨大化して、家の外にまで出てしまいます。
7、ヤクルトがCMでタイアップ&劇中にも登場!
ヤクルト・アメリカがなぜかCMでアントマンを起用。キャッチコピーは「Everyday Hero, Everyday Yakult いつもヒーロー、いつもヤクルト」というもの。実は日本企業がこんなところでマーベル映画に貢献しているのでした。
また、ヤクルトは劇中にも登場します。アントマンが留置所から逃げるシーンの警官の足元にご注目。これはプロダクトプレイスメントと呼ばれる宣伝方法で、物語の中に自然に企業の商品を溶け込ませるマーケティングです。刑事が何気なくヤクルトを飲んでいることから、まるでアメリカでもみんながヤクルトを飲んでいるような印象を与えますが、こうして視聴者の子供や大人にさりげなくヤクルト商品をアピールしているのでした。
8、アイアンマンの肩にアントマンが乗っている理由
劇中、登場人物がアイアンマンを始めとする「アベンジャーズ」について触れることが何度かあり、アベンジャーズ新シリーズでアントマンが加わるのではないかといった憶測が流れています。例えばハンク・ピム博士がスコット・ラングにアントマンスーツの使い方を教えている際には「これはアイアンマンの可愛いらしいテクノロジーのスーツとは違うんだぞ」などといったセリフが流れます。
また、スコット・ラングもハンク・ピム博士に対して「まず真っ先にやるべきなのはアベンジャーズを呼ぶことじゃないですか」といったことを口にしています。映画のポスターでもアイアンマンの肩の上でアントマンがポーズを決めているものやキャプテンアメリカのシールドに乗っているものなどがありますが、これもアベンジャーズとアントマンを結びつける戦略といってもいいでしょう。
ちなみに映画「アベンジャーズ」にも「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」にもアントマンは登場しませんが、それは映画アントマンの脚本家でもあり、もともと監督をする予定だったエドガー・ライトがマーベル側に関連作品の中でアントマンとワスプだけは登場させないでくれと強く頼んでいたからだそうです。
実はエドガー・ライトは映画アントマンの構想を2003年から練っていたそうで、実に10年以上の月日を経てついに劇場公開されたのでした。しかし生みの親であるエドガー・ライトは親会社であるディズニーとの意見の食い違いから直前で監督の座を降板。結局、ペイトン・リードが後釜として起用されています。
9、スタン・リーのカメオ
マーベルの生みの親として知られるスタン・リーがラストシーンにバーテンダーとして登場します。スタン・リーはマーベル映画には必ずといってほど出演しているので、ファンの間では彼を探すのが一つの楽しみとなっています。ちなみにディズニーアニメ「ベイマックス」でもスタン・リーはカメオ出演しています。
10、ラストのエンドロールのおまけシーンの意味
アントマンにはエンドロールが流れた後におまけシーンがあるのでぜひ途中で席を立たないようにしましょう。エンドロールの最初シーンではハンク・ピム博士が娘のホープをシークレットルームへと案内します。そしてそこにはホープの母であるジャネットが使うはずだったスーツがあるのでした。ハンク・ピム博士が娘のホープに向かってこういいます。
「お母さんは使うことがなかったけど、今思うとこれはお前のためのものだったのかもしれない。今こそ完成させるときだ」。
このシーンが意味するのは、アベンジャーズの創立メンバーのワスプの正体はジャネットであり、娘のホープが今後その座を受け継いでいくということです。近い将来、ホープ扮するワスプがマーベル映画で登場することを示唆しているのでした。
もうひとつのエンドロールシーンといえば、キャプテン・アメリカがファルコンと倉庫のような暗い場所で、ウィンター・ソルジャーを見つけます。ウィンター・ソルジャーの機械の腕は何かに挟まれていて抜けません。その状況でキャプテン・アメリカとファルコンはこんな会話を交わします。
ファルコン:もし1週間前だったら、もっと簡単に解決できたのに
キャプテン・アメリカ:トニーを呼んだらどうだろうか
ファルコン:彼は信じないだろうね
キャプテン・アメリカ:信じたところでって話だけど。ってことは俺たちだけでなんとかしないといけないってことか。
ファルコン:いや、一人心当たりがある。
この二人の会話の後に、「アントマンは帰ってくる」といったキャプションが流れます。つまりこのシーンが示唆しているのは、ファルコンが心当たりがあるという人物は他でもないアントマンのことなのです。もっと具体的にいえば、2016年に公開を予定している「キャプテン・アメリカ」の最新作にアントマン(ポール・ラッド)が登場するということです。