2020年に公開が予定されている映画の中で最も注目されている映画の一つが、クリストファー・ノーラン監督のテネットです。そこでこの記事では多くの謎に包まれた本作を、予告動画を基にストーリーやプロットを考察していきます。
テネットの意味
映画のタイトルのテネットは、ラテン語を由来とする言葉で、教義や信条といった意味があります。
また、テネットは、ワード・スクエアの真ん中に刻まれた文字としても知られています。ワードスクエアとは上下、左右どちらからも読めるようになっている四角連語で、世界中の遺跡などで発見されているものです。
そしてそれぞれのワードが二重の意味を持っているかのような役割を果たし、文章としてははっきりした意味が掴めないぼんやりとした文章になっているのが特徴です。
物語の中ではこの「テネット」というワードが秘密組織や特定のメンバーたちの間でパスワードのようなに使われることが予想できます。予告動画である男が「テネットという言葉が正しいドアも間違ったドアも開けてくれる」と言っていましたね。
ちなみに日本語では「テネットという言葉が生還の鍵になる。危険にもつながる」と訳されていました。つまり使う相手を間違えると、命の危険にさらされるという意味なりそうです。
ちなみにワード・スクエアの中にはテネットのほかにオペラというワードも含まれていますが、この映画ではクライマックスシーンの一つとしてオペラの劇場らしき場所が舞台に使われていますね。
テーマは時間の逆転
これまでのクリストファー・ノーラン監督の作品と同じくテネットもまた「時間」がテーマの一つとなっています。
例えば、クリストファー・ノーラン監督の出世作となったメメントでは、時系列とは逆に物語に進んでいく構成がされていました。
また、インセプションでは、他人の夢、潜在意識に入り込み、またそれをほかの人と共有できるといった、複数の意識や時間軸の中での出来事が描かれています。
そして本作では時間の逆転が主題となっているのは予告動画を見ても分かりますね。ちなみに予告動画の中ではいくつかのシーンがリバースされていることに気づいたでしょうか。
例えば壁を登るシーン。線路を走る電車のシーン。射撃のシーン。海を走るフェリーのシーン。カーチェイスのシーンなどがそれに当たります。これらのシーンをリバースさせて見ると、実際に起こったことが分かりやすくなります。
一見、タイムトラベルのようにも思えますが、タイムトラベルではない、と主人公がはっきり否定していることからも登場人物が過去に戻ったり、未来に行ったりして、なにかを食い止めるといったプロットではなさそうです。
となると、現在の時間軸にいながら時間を逆転させるテクノロジーが使われると考えられそうです。またはある人物に対しては時間が前に進んでいくのに対し、別の人物は時間が後ろにさかのぼっていくような世界観になるのかもしれません。
予告動画で、白衣を着た女性科学者が主人公に状況を説明しているシーンではホワイトボードを見ると、エントロピーの法則について書かれているのが分かります。
エントロピーの法則は、簡単にいえば物が上から下へ落ちたら自発的には上に戻らない、といったことや、熱いコーヒーを放置すると冷めてくるけど、冷めたコーヒーを放置しても熱くはならない、といった法則のことです。つまりなにかが自発的に変化する方向は常に決まっている、というのが現実の世界で起こることなのです。
一方でテネットでは、エントロピーの法則の逆にあたるリバースエントロピーというコンセプトが使われるのではないかと考えられそうです。
下に落ちたものは自発的に上に上がり。冷めたコーヒーは自然に熱くなるという世界です。
だからこそ事故った自動車が事故の前の状態に戻る。発砲した銃弾が、銃に戻る。ビルから地面に落ちた人がビルの上にあがる、といった現象が物語の中で起きているのではないでしょうか。
そしてもしかすると、10秒間だけ、あるいは10分間だけ自由に時間を逆転させることができる、または、物事が変化する方向を逆にする、ディバイスが登場するのではないかと僕は思っています。
というのもタイトルの「テネット」をよく見ると、「TEN」の部分で逆さになっているからです。つまり10という数字が大きな意味を持つことを暗示している可能性が高いのです。
テネットはインセプションの続編?
実は多くのファンから、テネットは映画インセプションの続編なのではないかと噂が流れているのをご存じでしょうか。どちらの映画もスパイや時間軸のゆがみを題材にしているなど共通点は少なくなさそうです。
さらにテネットのプロモーションで使われている、ある画像の文字のフォントがインセプションものと同じであることから、つながりがあるのではないかといった憶測が過熱しているのです。
もしかすると、テネットのラストなどでインセプションの登場人物がカメオ出演する、といったサプライズもなきにしもあらずです。
主人公の任務は第三次世界大戦を止めること
主人公の男は、ある組織のテストに合格し、謎のミッションを課せられます。そのミッションとは第三次世界大戦を止めること。白衣を着た女性科学者は、核戦争よりもひどいことが起こると明言しています。それがなんなのかは分かりませんが、核戦争よりももっと悪いことが起こるというのは気になるところですね。予告動画で一つ気になったのは登場人物が度々マスクを着けていることです。
もしかすると核戦争よりも悪いこととは、ウイルスによる生物兵器を使った戦争がアメリカとロシアの間で起こる、というシナリオなのかもしれません。もしそうだとしたら、あまりにも今の状況とタイミングが合い過ぎて、ちょっと怖いですね。
またはマスクをかぶっているときだけ、時間がさかのぼる、といったようにマスクが時間軸を操るディバイスとして使われることともありえそうです。果たして主人公の男は何を食い止めようとしているのでしょうか。以上、映画テネットの考察でした。