謎に包まれた不可解なストーリーと、迫力満点のアクションによって映画ファンを興奮の渦に巻き込んだSF超大作がテネットです。
しかしながら鑑賞後もどうも理解できないもやもやを残したんじゃないでしょうか。そこでこの記事ではテネットをより楽しむためのトリビアの数々を紹介します。
1、 テネットの意味
本作のタイトルのテネットは一つや二つどころか複数の意味を持っていましたね。
一つは地球の滅亡を防ぐ組織のテネット。もう一つは頭から読んでも後ろから読んでも同じ意味になるパリンドローム、つまり回文を意味するテネット。
そして三つ目は、テネットの軍隊が遂行したオペレーションのことを指します。というのもブルーチームが10分逆行するのに対し、レッドチームが10分進むというのは、TENETの10を意味するTENから来ているからです。Nを中心にタイトルのTENが途中から逆さになっているのはそのためだったのです。
2、 ラテン語の回文
映画テネットは、西暦79年に古代ローマの町、ヘルクラネウムで見つかった有名なワード・スクエアからアイデアを得ています。
それの中央に描かれているのが本作のタイトルであり、秘密組織のテネットです。一番上と下に描かれているセイターは、悪役の名前に使われていました。
アレポは、キャットと仲のいいアートディラーの名前なのに対し、ROTASはオスロ空港の警備会社の名前に使われていました。
そしてOPERAはもちろん物語の冒頭に登場したオペラハウスのことを指しています。
3、 タイムトラベル
テネットも時間の中を移動するという意味では、タイムトラベルに関する映画といえるでしょう。
ただし、これまでのタイムトラベルものと一番違うのはピンポイントに行きたい年月を指して、過去や未来を行き来するのではなく、あくまでも現時点から先に進むか、それとも逆に進むかを選んで登場人物たちが行動する点にあります。
そのため現時点から1年後、あるいは一年前に行くには順行しようと、逆行しようとやはり一年の月日がかかるのです。
4、 赤と青
物語の中で赤と青は度々時間の流れを示すカラーとして使われていました。テネットにおける赤は順行、青は逆行を意味する、ということだけ知っておいても物語が分かりやすくなるのではないでしょうか。
例えば一番それが如実に現れていたのは、エストニアの港にあった、ガラス越しに赤と青に分かれた部屋の下りと、最後のオペレーションでメンバーたちがそれぞれ腕につけていたマークじゃないでしょうか。
それ以外にも逆行しているセイターに対し、順行しているキャットは赤いドレスを着ていたりと、コントラストにも使われているのに注目です。
ちなみにカラー以外ではマスクを着けているかどうかでその登場人物が時間を逆行しているかどうかが分かるようになっていましたね。
5、 オスロ空港に戻った理由
僕がテネットを見ていて個人的にひっかかったのはなぜ主人公とニールはキャットを連れてオスロ空港にわざわざ向かったのか、ということです。
逆行弾に撃たれた場合、時間を順行していたら致命傷になる、という設定は分かったんですが、撃たれたあの場でマシーンに入って逆行し、そのままあそこで時間を過ごしてまた順行に戻ればいいのではないのかと思ったのです。
これについては2回以上見てやっと納得しました。まず、エストニアのマシーンがあった場所はセイターのアジトのような場所でしたね。あそこはセイターの支配下にあったことからも、キャットの傷が癒えるまでの数日間をあそこで過ごすことは彼らにとってはとても危険だったわけです。
それよりもすでに一度訪れたことのあるオスロ空港に行けば何が起こるかを知ったうえで、飛行機の衝突事故に紛れ込んで、またマシーンに入ることができる、つまり順行に戻ることができる、そしてそれまでにキャットの傷は癒えている、と考えたわけです。
主人公にとって唯一予想外だったのは、あのとき過去の自分と格闘するはめになる、ということでしょう。
6、 なぜ主人公は自分と戦ったのか
ではなぜあのとき主人公は過去の自分自身と戦ったのでしょうか。あのシーンをよく見ると、実は戦っているのは過去の主人公ばかりで、未来から逆行してきた主人公は手を抜いているのが分かります。
その証拠に銃を手に取り、ガラスに向かって撃つシーンではあえて、銃口を過去の自分自身から外すようにしているからです。あのとき主人公は銃を発砲しながらも、もちろん自分を撃とうとはしていなかったのです。もし気づかなかった人はぜひもう一度見てください。
7、 未来の科学者とセイターの目的
未来の科学者はセイターを使って過去を変えようとしていました。なぜなら未来の地球は気候変動によって、とても人が住めないような場所になってしまったからです。
その原因は過去にあると考えた未来の人間は、アルゴリズムを開発し、世界中のあちこちに送り、セイターにそれを探させました。
そしてアルゴリズムを稼働させ、地球の全てのエントロピーを逆行させようとしたのです。そうすることで人類は消滅すると言われていますが、未来の人間はそのリスクを冒してでも過去を変えなければいけないと考えたそうなのです。
しかしながらセイターには別の計画がありました。末期癌の自分と一緒に人類を道連れにすることです。どうせ自分が死ぬなら、世界中の人々も死ぬべきだ、という強いエゴを彼は持っていたのです。
8、 過去は変えられない
いくらタイムトラベルをしようと、過去に起こった出来事は変えることができない、というルールのものに成り立っているのがテネットです。つまり起こるべきことは必ず起こるわけで、それはちょうど物語の中でも言及されていた親殺しのパラドックスと通じるものがありますね。
ある人が時間を遡って、血の繋がった祖父を祖母に出会う前に殺してしまったらどうなるか、というもので、どちらかを殺してしまえば、自分は生まれてこないことになります。したがって存在しない者が時間を遡る旅行もできないことになり、祖父を殺すこともできないから祖父は死なずに祖母と出会う、という堂々巡りのパラドックスです。
それを物語に置き換えると、そもそも主人公をはじめ、ほかの人々が存在しているということは、アルゴリズムが発動しないことを意味しているわけで、助かることは最初から決まっていたことなのです。
つまり定められた運命から逃れられない登場人物たちの無限ループの物語だったともいえそうですね。
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