難しすぎてついつい何回も見たくなるのが、クリストファーノーラン監督によるSF超大作がテネットです。
すでに別の記事であらすじ、ネタバレ、解説など様々な視点で本作を検証しましたが、この記事では本編で明かされなかった謎の部分をピックアップしたいと思います。
あなたはこれらの謎についてどう思いますか?
CIAの毒薬
オペラハウスのオペレーションを成功させた主人公は、その直後ロシア人のマフィアに捕まってしまい拷問を受けました。
そこで主人公が取った行動は仲間の命を守るため、口を割らないために、毒薬を自ら飲んで、自殺するというものでした。
しかし次の瞬間、彼は知らない場所で目を覚まし、毒薬が偽物だったことを聞かされます。あれはテネットの任務を任せるだけの能力があるかどうかを図るためのテストだったと言われていましたね。
一方、末期癌のアンドレイ・セイターが自殺して、世界中の人々を道連れにしようとしていたときにも同じ毒薬を持っていました。彼はあの薬をCIAから借りたと言っていましたね。
もし主人公が飲んだ薬と、セイターが飲もうとしていた薬が同じものだとしたら、たとえセイターがベトナムのボートの上であの薬を飲んだとしても死ななかったことになります。
あるいはセイターが持っていた薬は本物だったのでしょうか。
なぜ未来の科学者はセイターを選んだのか
未来の地球は気候変動によって人間がとても住めないような環境になってしまいました。その原因を作ったのは過去の人間だと考えました。過去の人間たちが散々環境破壊をしてきたせいで地球の未来は失われてしまったのです。
そこで科学者たちはエントロピーを逆行させる技術を開発します。そうすれば時間を現在から未来へではなく、現在から過去へと逆行させることができるからです。ボロボロの地球にはすでに未来がなかったため、過去に行くしかなかったのです。
そしてその技術を基にターンスタイルと呼ばれるタイムマシーンと、9つの物体からなるアルゴリズムと呼ばれる世界中のエントロピーを逆行させる差動装置を作りました。
そしてアルゴリズムの一つを、かつて若かりし頃のセイターが住んでいた旧ソ連の閉鎖都市ストルスク12の地下に埋めました。
当時、セイターは原爆の実験が行われていたその場所でプルトニウムを掘りあさる仕事をしていました。そしてプルトニウムを探している最中に偶然、アルゴリズムを発見したのです。
もちろんそこに埋めたのは未来の科学者たちです。これをきっかけにセイターは未来の科学者たちのために働くことになります。報酬としてセイターには逆行技術が施された金塊が与えられました。
しかしながらなぜ未来の科学者たちはセイターにこんな重要な仕事を託したのでしょうか。滅びようとしていた地球を救う人物としては、強い野望を持ち、手段を択ばないセイターはとても適任には思えません。
あるいは、セイターのように手段を択ばない人間だからこそ、未来の科学者たちは、地球の全てのエントロピーを逆行させる、といった大胆なことを成し遂げてくれると思ったのでしょうか。
プリヤの役割はなんだったのか
テネットの登場人物の中で、謎の存在だったのがプリヤです。長い間、テネットの黒幕だと考えられていた彼女は実は主人公に雇われていたことが最後に判明します。
しかしながら実質、途中までは主人公に指示を出していたのはプリヤで、彼女がテネットの活動の大部分を指示していたようにさえ見えました。
時には主人公を欺き、あえて作戦を失敗させるなどして、プリヤは自分の目的を果たそうとしていましたね。
また、ラストシーンでは、多くのことを知り過ぎていたキャットと彼女の息子を殺す、という冷酷なことをしてまでも、テネットの活動や秘密を守ろうとしていました。
しかしもしプリヤもまた主人公に雇われていた一人なら、なぜ主人公が守ろうとしていたキャットを殺す、といった発想に至ったのでしょうか。あれはあくまでもプリヤの独断による行動だったのでしょうか。
主人公はあの後なにをしたのか
物語が幕を閉じた後、未来でテネットを設立し、ニール、プリヤ、そして過去の自分自身など雇って地球を救ったのが主人公です。
彼は最後にキャットとマックスを殺害しようとしていたプリヤを阻止し、幸せそうに歩いて行く、キャットとマックスの姿を車の中から見届けましていましたね。
しかしながら主人公はニールと別れるときに、キャットには会いに行かない、と約束していました。遠くから見るだけでも危険すぎると言っていたにも関わらず、ついつい会いに行ってしまったのは、やはりキャットとマックスを見殺しにはできなかったためでしょう。
それだけ主人公はキャットのことを愛していた、といえそうですね。そして愛するキャットと主人公、そしてマックスの三人はあの後、一体どういった人生を歩んでいくのでしょうか。
三人は共に暮らし、お互いに課せられた地球を救う重要な任務を背負いながら、逃れられない運命と無限ループは再びたどっていく。そう考えると、一見ハッピーエンディングなようなとても切なくなるのは気のせいでしょうか。
以上、テネットが残した謎の数々でした。
>>テネットの疑問を全部解説!マスク、消滅、同一人物、マックスの真相