日本でもお馴染みの対戦型格闘ゲーム、モータル・コンバットの実写映画が先日、全米で公開されました。そこですでに本作を見た僕があらすじと感想を正直に述べたいと思います。結論からいうと、モンスターハンターに匹敵するほどの駄作でした。
モータルコンバットのあらすじ
17世紀の日本、忍者の一族であるハサシ・ハンゾウは妻と二人の子供と幸せに暮らしていました。そこにある日突然、ライバル一族のビ・ハンが仲間を連れてやって来ます。
ビ・ハンはハサシ・ハンゾウが留守にしている間に妻と息子を凍らせて容赦なく殺害してしまいます。
しかしハサシ・ハンゾウの妻はその直前に赤ん坊の娘だけは床下に隠しておきました。それよってはなんとか赤ん坊は死なずに命拾いしました。
ハサシ・ハンゾウは自分の家族の無残な姿を目撃し、ビ・ハンの手下たちを次々と倒します。そしてビ・ハンに立ち向かっていきますが、無念にも返り討ちに遭ってしまいます。そして遠くのほうから赤ん坊の声がするのを聞きながら息を引き取るのでした。
それから数世紀の時が過ぎ、アメリカで育った日本人の血を引くコール・ヤングは総合格闘技の選手として戦っていました。しかし選手としてはすっかり下り坂でした。
彼の胸には生まれつき龍の痣がありました。それを試合中に見た元特殊部隊の兵士ジャクソン・”ジャックス”・ブリッグスが試合後コール・ヤングに近づいていきます。ジャクソンによると、その痣は生まれつきのものではなく、選ばしものに与えられたものだというのです。
そのときどこからともなくビ・ハンが現れ、氷のパワーを使ってコール・ヤングに襲いかかります。ビ・ハンは龍の痣がついてる者たちの命を狙っているようでした。ジャクソン・”ジャックス”・ブリッグスにも同じ痣がありました。
ジャクソン・”ジャックス”・ブリッグスはコール・ヤングを助けようとしますが、ビ・ハンにやられてしまいます。 なんとか逃げ出したコール・ヤングはコール・ヤングはジャクソン・”ジャックス”・ブリッグスの仲間である、ソニア・ブレイドを尋ね、彼女と一緒に地球上にいるチャンピオンと呼ばれる 龍の痣を持つ仲間たちを探す旅に出るのでした。
モータルコンバットの感想
今回、モータル・コンバットを監督したのはCMの監督などを務めてきたサイモン・マックウォイドで、彼にとっては長編映画のデビュー作品となりました。
デビュー作でも面白い映画を撮る人はたくさんいますが、サイモン・マックウォイド監督については残念ながらそれにはあてはまりませんでした。
実はモータル・コンバットは1995年、1997年にも映画化されており、そのときもゲームファンを始め、映画視聴者から酷評されています。奇しくも当時の監督は、映画モンスターハンターを撮ったポール・W・S・アンダーソンです。
そんな作品のリブートとして映画化されたのが今回のモータル・コンバットで、実は製作が始まったのは2010年にまでさかのぼります。
それから監督やキャストが二転三転して、やっと完成し、今年に入ってリリースされたのがこの映画なのです。つまり製作の時点でトラブル続きだったことが分かりますね。
いざふたを開けてみても内容もやはりかなりボロボロの映画でした。まず、ストーリーの描き方がかなり雑で、大勢の登場人物が出てくるにも関わらず、人物描写がほとんどありません。
監督がCMしか撮ったことがないからか、ストーリーのつなげ方がぶつ切りで、あるシーンが終わると、突然次のシーンに移る、といった感じで違和感を覚えます。
そして物語の中では必然性のない戦闘シーンに多くの時間が使われていて、感覚としては3分おきぐらいに誰かと誰かが何かの理由を付けて戦い出す、という調子でした。
アクション映画だから戦闘シーンが多いのは当然ですが、その肝心な戦闘シーンですら中国の安っぽいカンフーアクションみたいで、ハリウッド映画のレベルには達していません。
一方ではナイフで刺したり、腕を引きちぎったりといった残酷でグロいシーンがあるのに対し、もう一方では子供向けの振り付けアクションシーンが長く続き、できるだけ血生臭ささを排除していたりと、本格的な殺人のシーンを描きたいのか、ソフトにしたいのかどっちつかずでバランスも悪いです。
俳優陣はアジア系のキャストが中心になっていて、いずれもB級俳優ばかりです。その中に日本から真田広之と浅野忠信が脇役としてサポートに回っていて、まともな仕事をしているのは、真田広之とビーハンを演じたジョー・タスリムぐらいです。
主人公を演じたコール・ヤングが特にひどく、メインキャラクターの存在感やパフォーマンスを見せたとは言い難く、全体的に演技はできないけど、ただ美男美女だから出ている俳優たちばかりでしたね。
この映画もまたシリーズ化を計画していて、ストーリーは一本で完結しないまま中途半端な形でエンディングを迎えます。ただ、この調子だとキャストを全員取り換えるぐらいのことをしないと、回を重ねるごとにひどくなっていくのは目に見えていますね。
それにしてもやはりゲームの映画化はとてもお難しい、と改めて思わされる作品でした。
ゲームを基にした映画で、本当に面白いと思えるものって実際あったかどうかも思い出せないぐらいです。以上、モータル・コンバットについてでした。