世界中で韓国のドラマシリーズ、イカゲームが大ヒットしているのをご存じでしょうか。なんとネットフリックスが配信されている90カ国の全ての国で視聴数ナンバーワンを記録しただけでなく、ネットフリックス作品の中で最も視聴された作品の一つになっています
また、イカゲームで登場人物が履いていたシューズがバカ売れしたり、イカゲームを体験できるブースが設置されたり、イカゲームに出演した女優チョン・ホヨンのインスタのフォロワーがわずか3週間で1500万人増加したり、と多くの国では社会現象にまでなっているのです。
では一体なぜイカゲームがこれほどまで世界で受けたのでしょうか。この動画ではその理由を分析していきたいと思います。
その前にまずは簡単にイカゲームのあらすじを紹介していきたいと思います。
イカゲームのあらすじ
ソン・ギフンは事業に失敗し、妻と離婚することになりました。それによって娘の親権を失った彼はギャンブルに明け暮れ、母親のお金を使い込むほど落ちぶれていました。
毎日のように借金の取り立てに追われていたソン・ギフンはある日、やくざに捕まり、借金を返済しなければ腎臓を売ることを強引に約束させられてしまいます。彼にはもう後がありませんでした。
そんなある日、ソン・ギフンは地下鉄でセールスマン風の男に話しかけられます。そこで多額の賞金を懸けたゲームに参加しないかと誘われ、名刺を受け取りました。
ソン・ギフンが名刺に電話をかけ、約束の場所に行くと、マスクを被った男のバンに乗せられ、催眠ガスで気を失っているうちにとある無人島へと連れて行かれるのでした。
目を覚ますと、ソン・ギフンは無人島の施設の中にいました。そしてそこでほかの数百名の参加者と共に負けたら即射殺される究極のサバイバルゲームに参加させられることになるのでした。
イカゲームと類似作品
あらすじを聞いてみても分かるかと思いますが、イカゲームはサバイバルゲームを題材にしたプロットになっていて、日本の作品でいうところの「今際の国のアリス」、「カイジ」、「バトルロワイアル」、「神様のいうとおり」などとも共通点が多いです。一方ハリウッド映画では「ザ・ハント」、「エスケープ・ルーム」などゲーム要素を用いたサバイバルアクション映画ともに似ています。
つまりイカゲームが特別新しいタイプの作品である、ということはないのです。むしろどこかで見たことがあるなあ、という気にさせられるドラマシリーズで、一部のファンからはパクリ疑惑まで浮上しているほどです。
では一体なんでそんなパクリともいわれる、古いプロットを再利用したような映画が爆発的なヒットを記録したのでしょうか。
イカゲームが売れたポイント
イカゲームがこれほど売れた要因の一つに映像と美術のクオリティーがあげられそうです。特に日本の作品と比べると差は明らかで、イカゲームには見た目の安っぽさがなく、スケールの大きさがストレートに伝わってくるのです。
無人島に設置された施設で、命懸けのサバイバルゲームが行われる、というシュールな設定にすら違和感を覚えさせないぐらいセット、衣装、映像、CGにおいて高いクオリティーを保っているのです。
特に参加者の運動着を緑色、スタッフの衣装をピンクで統一し、多くのキャラが使っているマスクのデザインなども美術的に見てもとても綺麗です。
施設内の階段、トイレ、スタッフの部屋、参加者のベッドなども無機質でありながら、ヴィジュアル的にとても生えるデザインにしてありました。早い話、センスがよく、この映画で使われたアイテムが売れるのもよく分かります。
もう一つのポイントはほどよいバイオレンスシーンでしょう。グロいシーンは多々あるものの、グロテスクにしすぎないような配慮がされていて、殺人のシーンが大衆向けのエンタメテイストに仕上がっています。かといって流血シーンや銃で撃たれる映像はリアルな出来栄えにもなっているのでB級な感じがしません。
そんなバイオレンスシーンをもとに、シンプルで分かりやすいストーリーの元、生きるか死ぬかという単純なゲームが展開していくので、心地よい緊張感と娯楽性が見事に融合しているのです。
さらには俳優たちの演技力も高く、それぞれのキャラも濃く、またチョン・ホヨンといった世界中の視聴者を虜にするような新たなスターを輩出しているのも売れた理由の一つでしょう。
ストーリーでいえば韓国映画は、これまでにも度々社会格差を描いたものが数多く作られてきました。
同シリーズも例外ではなく、多額の借金を抱えた貧困層、彼らの様子を遠くから見守る富裕層の人たちといった構図になっていて、視聴者は参加者と富裕層の二つの目線でストーリーを追いかけいくような作りになっているのが特徴ですね。
そして最後は近年世界中で一部のファンの間でKポップがブームになっていることもあり、韓国映画に入っていきやすい土壌がすでにできていた、というのも一つの要因なのではないかと思います。
そういった一つ一つの要素が合わさったうえ、タイミングの良さもあり、世界的な大ヒットに至ったのではないかと僕は思いました。
イカゲームの感想
とはいえイカゲームがそれほど面白い作品かというと僕はそうは思わなかったです。売れたことには納得できるし、いかにも売れそうなドラマだなあ、という気はしましたが、あくまでもティーネイジャー向けの中身のないエンタメ作品だなというのが正直な感想です。
すでに話したように全体的なクオリティーは高いので最後までは普通に見れます。しかし暇つぶし作品の域を出ないし、これを見たことによって心動かされるものはありませんでした。
2020年に韓国映画の「パラサイト半地下の家族」がアカデミー賞の作品賞に輝き、世界的に韓国映画が認知された後だったからこそ、すんなり世界各国で受け入れらた、というのもあるんじゃないでしょうか。そういう意味では、タイミング的にもばっちりでしたね。
以上、イカゲームについてでした。