映画「ゲット・アウト」や「アス」で知られるジョーダン・ピール監督によるSFホラー、ノープが世界各国で公開されました。そこでこの記事では気になるノープのあらすじと感想について話していきます。普通に見ただけではストーリーが理解しずらいので、ぜひこの記事でおさらいしてください。ではさっそく紹介していきます。
ノープのあらすじ
牧場でテレビや映画向けの馬を飼育しているオーティスはその日も息子のOJと一緒に馬の世話をしていました。ある時、牧場の電気が落ち、突然携帯の電波が届かなくなったかと思うと、空から変な音が聞こえてきてはなにかが降ってきました。すると馬に乗っていたオーティスは気絶して落馬してしまいます。
レントゲンを撮ると、空から降ってきた5セント硬貨がオーティスの目を貫通していました。それが原因でオーティスは息を引き取ってしまったのです。オーティスが乗っていた馬を見ると、馬の身体には鍵が刺さっており、血を流していました。この鍵も空から降ってきたようです。
父親を失ったOJは妹のエメラルドと共に牧場を引き継ぐことにします。二人はさっそくCM撮影の現場に行き、仕事をこなそうとしますが、馬が撮影中に暴れてしまい首になってしまいます。
牧場を維持するにはお金がかかるため仕方なくOJは隣に立てられたテーマパークの持ち主リッキージュープパークのところに馬を買ってくれるように話を持ち掛けます。リッキーはかつて子役俳優としてコメディードラマで一世を風靡した人気者でした。
しかしドラマの撮影中、チンパンジーが暴れて出演者を殺してしまう事件が起こり、リッキーももう少しで襲われるところでした。そのことが大人になった今でも彼にはずっとトラウマとして残っていました。
OJはそんなリッキーに馬を売ろうとしたのに対し、リッキーは牧場ごと売ってくれないかと提案します。エメラルドもそうすればいいと話に乗り気でしたが、OJはかたくなに家族が残したビジネスを手放すのを嫌がりました。
その晩、OJとエメラルドは牧場の電化製品が故障し、馬が暴れるように逃げ回る姿を目の当たりにします。そして空になにやら円盤型の飛行物体がものすごいスピードで飛んでいくのを目撃したのでした。
OJとエメラルドはＵＦＯの映像をカメラに収めればお金になると考えます。そこで家電量販店に行き、防犯カメラを買い、店員のエンジェルに頼んで牧場に設置してもらいました。
まもなくするとＵＦＯの力によって電化製品がなんらかの電波障害を起こすことが分かり、ＵＦＯが動きを見せ、姿を現したときに限ってカメラが機能しないことに気づきます。
ただし、それ以外のときカメラには何日も同じ場所から全く動かない怪しい雲が映っていました。そう、それは雲ではなく、ＵＦＯそのものでした。
ちょうどその頃、リッキーのテーマパークでは観客を集めてショーが行われていました。リッキーは今日は特別なものを見せるといって馬を生贄にし、UFOをおびき出そうとします。
すると実際に雲の中からUFOが現れ、馬どころかスタッフをはじめ、観客たちをみんな呑み込んでしまったのです。どうやらUFOを直視すると狙われ、吸い込まれてしまうようでした。
一方、ＯＪとエメラルドはＵＦＯをどうしても映像に収めようと著名なカメラマンのホルストに依頼します。ホルストは最初こそ断りますが、リッキーのテーマパークで観客や従業員たちが姿を消したニュースを聞きつけ、ただ事ではないと感じて引き受けることにします。
ホルストはＵＦＯを映像に収めるためにバッテリーに頼らず、手動で動かすことのできる旧式のカメラを牧場に持ってきました。こうしてOJ、エメラルド、エンジェル、ホルストの4人はUFOの特徴と修正を掴んだうえでついにエイリアンに立ち向かうことにするのでした。
ノープの感想と解説
本作はジョーダン・ピール監督によるSFホラー映画です。一見、未知の飛行物体と遭遇する様子を描いたエイリアン映画という感じがしますが、実はその裏では現代社会を反映する多くの社会風刺や暗示が込められています。それもあってか普通に見ているだけではテーマやストーリーが理解しずらく、多くの人にとっては何の話なのかよく分からないままなんとなく終わってしまうかもしれません。
この映画が伝えようとしているメッセージやトリビアについてはまた別の動画で詳しく解説していくのでここではあえて触れませんが、ちょっとした予備知識が必要なタイプの映画であることは知っておいたほうがいいかもしれません。
そもそもジョーダン・ピール監督は「ゲット・アウト」や「アス」を監督し、「キャンディーマン」ではプロデューサーを務めるなど、これまで一貫してアメリカ社会における黒人の視点から人種や社会問題を取り上げてきました。
それに対し本作ではハリウッドなどショービジネスにおける労働搾取問題や見世物やコンテンツを消費していく人々の行動心理をエイリアンという生命体を使って表現していると考えられそうです。
しかしながら視聴者に深読みさせるためにちょっと捻りすぎている感も否定できず、エンタメホラーとしてはスローで恐怖を感じる箇所もやや少ないかなと感じました。純粋にストーリーを楽しむというよりは、むしろ一つ一つのシーンにどんな意味があるのか考えることによって面白みが出てくるタイプの作品なので好き嫌いがかなり分かれそうです。以上、ノープについてでした。
